認知症治療薬がアメリカで承認

 

 米食品医薬品局(FDA)は6月7日、バイオジェンとエーザイが共同開発した抗アミロイドβ抗体「ADUHELM」(一般名・アデュカヌマブ)を迅速承認し、ニュースになりました。

アミロイドβ(Aβ)の脳への蓄積はアルツハイマー病(認知症の約7割)の根本的な原因の1つとされ(アミロイドβ仮説)、これに直接作用する薬剤の承認は世界初。アミロイドβ仮説が正しければ、今までの対処療法だった抗認知症薬とは違い、アルツハイマー病の病理に作用する最初の治療薬となります。

 

 ただし、今回の承認は条件付きで、薬剤の臨床的ベネフィットを検証する新たな臨床試験の実施を要求おり、臨床的ベネフィットが確認できなかった場合、承認を取り下げる可能性にも言及しています。

 2015年に第三相試験(1500人規模の治験、アメリカでは2グループ)が開始され、2018年の中間段階評価では一つのグループは有意差が出て効果がでたが、もう一方では投与していないプラセボ群が良い結果が出て治験が中止と判断されます、しかし中止までの間に試験を終えた被験者のデータを合わせて再検討すると「効果があり」と判断された経緯を持つからで、当時は人数が多いと結果が出ない、良いデータを引っ張ってきたのではないかと憶測もでたらしいです。

 6月12日には「アデュカヌマブ」をめぐり、審査を担うFDAの独立委員会のメンバー2人(ロイター通信によると、承認に反対票を投じた大学の神経学者と、当日の採決に加わらなかった医療機関に勤める人物の2人)が9日までに辞任したという報道もありました。昨年11月にはアデュカヌマブについて、臨床試験(治験)によって有効性が証明されているかどうかを議論されていたが、委員のほぼ全員が承認に反対していたということです。提言はFDAの審査の際に考慮されるが、拘束力はないそうです。

 

対象は?

対象は軽度認知障害と初期のアルツハイマー病でアミロイドβが溜っている方

アミロイドPET試験が必要となります。(現在は保険適用外で一回、20万~30万円)

現段階では重度の方は適用範囲外です。

 

いつから日本で使える?

 バイオジェンとエーザイは、アデュカヌマブを日本や欧州などでも申請中。日本での申請は昨年12月に行われ、年内にも承認の可否が判断される見込みです。早くて来年から再来年の予想です。

 使用方法は、点滴で月1回、1年6か月投与。4年間効果が継続するそうです。

 

価格は?

 日本では薬価はまだ決まっていませんが、アメリカでの年間薬剤費(卸業者購入価格:WACベース)は、平均的な患者が維持投与量を用いた場合で5万6000ドル(約613万円)となるそうです。

もし日本で承認され、保険適用になっても月50万はかかる見込みだそうです。

また、投薬にはアミロイドPET試験が必要となると考えると、現在は試験は保険適用外で一回、20万~30万円と費用がかかる見込みです。

 

副作用は?

 一番多かったのは脳内の一時的な浮腫(41%、そのうちの24%が重篤)だそうです。プラセボ群では10%で観察されています。

 ほかにも浮腫により頭痛、錯乱、めまい、視力低下、吐き気、脳微小出血関連表在性せん妄、転倒、下痢、錯乱/せん妄/精神状態の変化/見当識障害、蕁麻疹があるそうです。

 

まとめ

 条件付きの承認であるが、効果が確認できれば、アミロイドβ仮説が正しいという根拠の一つになり、」認知症治療の大きな進展となります。

 また、エーザイもアデュカヌマブのほか、バイオジェンと抗Aβプロトフィブリル抗体レカネマブ(開発コード・BAN2401)を共同開発。さらに、抗TMBRタウ抗体「E2814」やシナプス再生剤「E2511」と、複数のアルツハイマー病治療薬を開発しています。内藤CEOは、複数の薬剤を揃えることで、アルツハイマー病の根本治療が可能になるとの考えを示しており、今後の動向に注目です。

 

 

参照元

answers.ten-navi.com

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